アートにエールを!

くっきりとした輪郭

  • 公開日 2020.08.31
  • 視聴回数 127回
  • 05映像
生きていてもあまり思い出さない時と、この世にいなくても、しきりに思い出される時では、どちらが近くにいるのだろうと、昔付き合っていた人の突然の訃報に思った。

時折思い出す旅がある。小さな村でオペラをBGMに家を作る男。彼のことを思い出すと、世界がすこし広く感じられる。遠くの人を想うことと、亡くなった人を想うことは、何がどう違うのだろう。

この人となら、スーツケース片手に軽やかに歩いて行けそうと思ったことを思い出す。どれほど支えられていたか、なんて多くの優しさをもらったか。自分を形作る確かな過去に触れる時、目の前の世界が、くっきりとした輪郭を持って浮かび上がる。

齋藤茜

1984年生まれ。一橋大学社会学部、京都造形芸術大学通信教育部写真コース卒業。

2013年『たまに赤ちゃん、たまに老人』で第3回キヤノンフォトグラファーズセッションファイナリスト選出。

2017年個展『扉は外へつながっている』で第19回三木淳賞受賞。